【ユネスコ無形文化遺産】秩父夜祭の見どころは、なんと言っても山車と花火。各町内の6基からなる山車は、巧みな彫刻が施され、金糸をあしらった刺繍によって豪華絢爛に装飾されている。重さは最大20t。一基につき150〜200人の男たちが、秩父屋台囃子の調べに乗せて勇壮に曳き廻す。一行が秩父公園の団子坂に差し掛かると、祭りはいよいよ最高潮を迎える。最大傾斜25度の坂を、山車を曳いて駆け登る男たち。その背景には、大輪の花火が冬の夜空に咲く。約7,000発もの玉をテンポよく打ち上げ、見事な共演を見せてくれるのだ。他にも、山車の上で披露される踊りや芝居は、観光客の目を楽しませている。
秩父夜祭は、秩父神社の例大祭であり、この地に開かれた「絹大市」と呼ばれる絹織物の市の発展と共に成長してきた。300年あまりの長い歴史を経て、現在は日本三大曳山祭の一つに数えられている。
各町内から出される6基の山車は、4基の屋台と2基の笠鉾からなる。一見、違いはないように見えるが、細部まで目を凝らすと屋根や刺繍の違いに気づくはずだ。また、笠鉾は本来、花笠などが飾り付けられているのだが、運行中に電線が架かってしまうので屋台のような姿で巡行している。
20t規模の山車にもなると、坂を上るだけでも大迫力である。そのため、団子坂を登り切った際には観客から拍手が送られる。また、曲がり角での方向転換もダイナミックだ。てこ棒で山車を持ち上げ、一気に向きを変える方法は「ぎり回し」と呼ばれ、豪快に山車が回されると歓声が上がるほど。また、曳き手や観客を煽るように、小気味良いテンポを鳴り響かせる秩父屋台囃子の調べにも耳を澄ましてほしい。
屋台は曳き廻すためだけではなく、屋台の上で行事が行われる。そのため秩父の屋台囃子の演奏者以外にも、踊り子や演者が乗りこんでいる。「曳き踊り」と呼ばれる舞も、その屋台行事の一つであり、地元の女の子が祭事用の演奏に乗せて踊りを披露する。他にも、「屋台歌舞伎」と呼ばれるお芝居が、多くの観客の前で熱演される。
祭りは12月1日~6日まで開催されるが、花火が打ち上がるのはそのうち2日間だけである。まずは祭りのメインである3日の「大祭」。山車で団子坂を駆け上がる行事が行われる日だ。そして次に、大祭の前夜祭として行われる2日の「宵宮」。山車の曳き廻しや曳き踊りも披露される。冬の季節に、山車と花火の共演を見られるお祭りはなかなか珍しいので見逃さないようにしよう。
山車付近は山車関係者や警察官の指示に従うこと
会場周辺は道路規制により自動車での進入禁止
秩父市へのアクセス
[最寄り駅]
① 秩父鉄道:「秩父」駅又は、「御花畑(芝桜)」駅
② 西武鉄道:西武秩父線「西武秩父」駅
会場
住所:埼玉県秩父市番場町1-3(秩父神社)
駅周辺