まりもは湖に生息する藻で、球状に大きく成長し群生するのは北海道の阿寒湖とアイスランドのミーバトン湖のみである。絶滅の危機に瀕しており、現在は日本の特別天然記念物である。「まりも祭り」はまりもの保護を目的として1950年から開催されている祭りである。この祭りを取り仕切るのは、北海道の先住民族であるアイヌの人々。2日目夜と3日目朝に行われる儀式によって、アイヌの伝統と自然の尊さを感じられるだろう。松明を持った人々が夜の街を進む「タイマツ行進」やアイヌ民族舞踊の競演なども行われる。
9日の19時30分頃、「まりもを迎える儀式」が行われ、祭りのメインイベントが始まる。アイヌの人々を包む神聖な雰囲気が感じられる儀式だ。独特な民謡が響く中、湖からアイヌの若者が丸木舟で現れ、エカシと呼ばれる長老にまりもを手渡す。そして、アイヌコタンという広場へと、タイマツ行進によってまりもが運ばれる。夜の街を約400人がタイマツを持って練り歩く様子は幻想的だ。この行進には観光客も参加可能である。
9日の午後8時半から、アイヌの人々がそれぞれの地域に根ざした民族舞踊を披露する。この祭りは、年に一度アイヌの人々が集まり、民族の結束を強める場でもあるのだ。各地の踊りは様々で「バッタの舞」「鶴の舞」など生き物を表現した踊りや、剣を使って踊る「剣の舞」など、見ているだけでも楽しくなる。祭りの最高潮を迎える時間だ。
祭りの最終日朝10時から、まりもを湖に返す儀式があり、人間を育む自然へ感謝を伝える。この日はカムイノミという、アイヌの人々による神への祈りが行われた後、再び行列がまりもを運ぶ。湖では子供達の踊りに見送られ、丸木舟に乗ったアイヌの長老自ら、一つ一つまりもを湖へ返していくのだ。日の下で見ると、手作りのアイヌ衣装がさらに美しく見えるだろう。
この地域の名物土産として、「まりもようかん」がある。ようかんとは、ほのかに甘いゼリー状の和菓子である。阿寒湖周辺では、まりもに似せた緑の球状のようかんを販売している。食べるときには針状のものでプチっと刺し、ようかんを包んでいるゴムを割る。つるんと一瞬にして出てくるようかんを堪能しよう。
自然への感謝の気持ちを持って、静かに見学しよう
田辺市へのアクセス
最寄り駅 JR釧路駅
路線名: JR根室本線
最寄りバス停 阿寒バス阿寒湖畔停留所
路線名:阿寒湖畔行き
最寄りバス駅から祭り会場まで徒歩5分
阿寒湖温泉街で開催