「日立風流物」は、祭りの名前ではなく「からくり」がちりばめられた巨大な山車のこと。からくりとは、日本で古くから用いられてきた機械的な仕掛けであり、その仕掛けには精巧な技術が集約されている。高さ15m、重量5tにもなる山車は、からくりによって変形する。大きな山車が見る間に5段の舞台へと変形する様子は見事。その上で行われる日本の歴史や民話などを題材とした人形芝居も見物のポイントだ。この人形にもからくりが施されており、芝居の途中、一瞬で姿を変える仕組みだ。人形芝居は山車の表と裏で行われるため、表での芝居が終わると、山車を180度回転し、裏での芝居に移る。巧みな人形操作と山車を旋回する様子は見逃せない。日立風流物は、毎年開催される「日立さくらまつり」で1台見ることが可能だ。ただし、7年に一度行われる神峰神社の大祭礼では、この地に伝わる4台の風流物が全てそろう。伝統を受け継ぐ山車が4台並んだ姿は圧巻だ。
日立風流物は全部で4台。それぞれ装飾や人形芝居の内容が異なり、「日立さくらまつり」にはそのうちの1台が登場する。人形芝居が始まると、お囃子に合わせて山車のからくりが順に開き5段の舞台へと早変わり。舞台の開閉や人形芝居は全て人力で行われるため、30人以上の人形師や囃子方が山車の中に乗り込み、移動に関わる人も含むと総勢100名以上で山車を動かしている。
山車の上で繰り広げられる人形芝居では、人形の華やかな衣装と繊細な動きに注目。操り人形の大きさは約1.5メートルで1体の人形を2〜3人で操作している。芝居では、人形が刀や弓を操ったり、舞を披露したり、巧みな動きで人々を魅了する。人形から放たれた矢は、見物客が持ち帰ることも可能だ。芝居の途中では、人形が一瞬で回転し、武士の姿からお姫様の姿へと早変わりする見事なからくりも披露される。
「日立さくらまつり」は、日本の名所百選にも選ばれている日立駅前の平和通りで開催される。100本以上の桜とともに山車が見られ、夕暮れ後は、ライトアップされた桜と山車が美しい。
4台の山車が集まるのは、7年に一度行われる神峰神社の大祭礼だけ。大祭礼では、それぞれの山車が競い合うように人形芝居を披露する、貴重で豪華な様子を堪能することができる。大祭礼は5月の3〜5日に開催され、「ささら」と言われる子供達による舞いや、神の分霊を宿した武具を持った稚児5人が馬に乗る「役馬」などが行列をつくって巡行する様子も見られる。7年に一度の機会を逃さずに観に行こう。(次回は2019年)
なし(博物館HPは有り)
・公開中に山車が180度旋回するので、一定の距離を保って見学する
・山車から矢が放たれるので、頭上に注意
・山車付近では、山車関係者や警察官等の指示に従うこと
日立市へのアクセス
[最寄り駅]
JR常磐線日立駅
会場へのアクセス
神峰神社大祭礼
日立市宮田町5-1-1(神峰神社)
日立駅中央口から路線バス15分「神峰公園口」バス停下車すぐ(日立電鉄交通サービス)