福島県重要無形民俗文化財に指定されている「二本松の提灯祭り」は、約350年の伝統を誇る、二本松神社の例大祭だ。見どころは何と言っても、赤々と辺りを照らす3,000個もの紅提灯。「太鼓台」と呼ばれる高さ11m以上の巨大な山車には、1台あたり300以上の提灯が飾り付けられ、祭り囃子を奏でながら市内を勇壮に練り歩く。4日の宵祭りでは、7つの町の太鼓台が集結し、「御神火」と呼ばれる神社の神聖な火を借りて、一斉に提灯に火を灯す儀式が行われる。
この祭りの由来は、ときの二本松城主が「よい政治を行うためには、まず神様への敬意を高めること」と考え、地元の神社をまつり、誰でも自由に参拝できるようにしたのが始まりといわれている。神聖で、赤々とした提灯のあかりを見上げる人々の光景は、まさに神を仰ぐ姿を連想させる。
4日に行われる宵祭りの見どころは、夕方5時頃から始まる太鼓台の出発式。その中でも二本松神社で厳かに行われる「御神火祭」は必見だ。かがり火(木を燃やして灯りにした、屋外用の照明具)から松明に灯した「御神火」を、各7町内の走者が太鼓台まで届ける。7台が一斉に提灯に火を灯す光景は、まさに神の魂が乗りうつったかのようである。
太鼓台にはハンドルがない。そのため、運行・方向転換はすべて人力だ。また、提灯のあかりに使われるロウソクの消費量は、一晩で一台あたり1,500本を超える。そうした太鼓台の運行などをすべて取り仕切っているのが、「若連」と呼ばれる男たちだ。力強く巧みに太鼓台を引き廻す姿や、手際よく提灯の火を灯す彼らの技に、是非注目してほしい。
太鼓や鈴を用いた祭り囃子は、7つの町でそれぞれ違う。また、各町内でも、いくつもの種類がある。上り坂や方向転換の際の威勢のいいリズム、下り坂でのゆったりとしたリズム、平坦な道を進むときの軽快なリズムなど、場面によって曲調を変えるのだ。そうした音の演出は、祭りに物語を感じさせ、観客を飽きさせることはない。
5日の本祭りでは、7つの町の太鼓台が合同で町を練り歩く。その際、太鼓台は飾りつけていた提灯を全てはずすのだが、その貴重な姿はこの本祭りの日中でしか見ることができない。金箔の輝く彫刻を施した、豪華絢爛な姿を見逃すな。
6日の後祭りは、7つの町が、4町と3町に分かれて太鼓台の引き廻しが行われる。特に3町合同での引き廻しは、霞ヶ城公園(二本松城跡)で出発式が行われ、城に向かって太鼓台が並ぶ様子は一見の価値がある。
太鼓台に直接触れることはできないが、運行場所によっては、太鼓台を引くために付けられた綱を一緒に引くことはできる。現地のスタッフの説明をしっかり守って、祭りをもっと楽しもう。
太鼓台に触れることは禁止
太鼓台の綱をまたぐことは禁止
現場にいる地元のスタッフ、警察官・交通警備員等の指示に従うこと
仙北市へのアクセス
[最寄り駅]
JR東北本線「二本松」駅
[最寄りバス停]
福島交通 「二本松駅前」または「二本松駅入口」バス停
会場
二本松駅前周辺
二本松神社(駅から徒歩3分)
(二本松市本町一丁目61番地)