古川祭は、飛騨市・気多若宮(けたわかみや)神社の春の例祭。迫力ある太鼓のぶつかり合いが見られる「起し太鼓」と、絢爛豪華な「屋台行列」からなる祭りだ。
「起し太鼓」では、さらし姿の裸男数百人が集い、大太鼓のやぐらの後方で各町内の「付け太鼓」と呼ばれる小太鼓が激しくぶつかり合う。大太鼓に跨る打ち手は、この地方「飛騨」の男にとって一生に一度の大役であり、皆の羨望を集める。負けず嫌いで勇ましい「飛騨古川」の男たちの姿は、「古川やんちゃ」とも呼ばれ、起し太皷の攻防戦は危険な程激しいものとなる。威勢のいい掛け声に包まれながら、起し太鼓の熱気を全身で味わおう。
翌朝には一転して、9台の絢爛豪華な祭屋台が町内に曳きそろえられ、喧噪の夜とは違った、優美な一面を魅せる。
2016年、古川祭はユネスコ無形文化遺産に登録。「飛騨古川」の誇りであるこの祭りは、世界的に価値の高い伝統文化として、時代を超えて受け継がれていく。
「起し太皷」は太鼓同士の場所取り合戦だ。大太鼓と、それを追随する各地区総勢12本の「付け太鼓」によって繰り広げられる。付け太鼓は、丸太にくくりつけられた小さな太鼓のことで、大太鼓が乗るやぐらの真後ろに「付ける(位置する)」ことが名誉とされている。路地や脇道から我先に猛然と大太鼓に突進する付け太鼓と、大太鼓を守る者とのぶつかり合いで、町内が熱気に包まれる。この激しい攻防戦は、夜中0時を過ぎる頃まで続く。
2日目である20日の朝には、絢爛豪華な祭屋台の行列がある。飛騨の職人(飛騨の匠)による、伝統工芸の粋を集めて作られたこの屋台は9台あり、揃って並ぶ姿は圧巻だ。精緻な彫刻をじっくり観察しよう。うち2台ではからくり人形の上演もある。からくり人形とは、電気の力を使わず糸や歯車の力で動かす自動人形のこと。人形の巧みな演技から、精巧なからくりの技術を感じよう。
9台ある祭屋台のうち1台では、子ども歌舞伎の奉納がある。演目は「弁慶と牛若丸」。
強者として名を馳せていた大男・弁慶が、橋の上で出会った少年・牛若丸の太刀を奪おうと斬りかかる。ところが牛若丸は身軽にこれを交わし弁慶を翻弄。自らの負けを悟った弁慶は牛若丸への忠誠を誓うという、日本の有名な昔話に基づいたものだ。堂々と舞台に立つ、子ども達の熱演は必見だ。
「起し太鼓」は観光客が非常に多い為、押されて側溝に落ちないように注意
飛騨市へのアクセス
[最寄り駅]
JR高山本線 飛騨古川駅
会場
古川町市街地
壱之町14-5(飛騨古川まつり会館)
JR飛騨古川駅から徒歩5分