「えびすさま」は福をもたらす日本の神様。古くから漁師や商人たちに敬われており、えびすさまを祀った神社が全国に点在している。その総本社が「十日えびす」の行われる西宮神社だ。祭りの開催期間は、えびすさまのエネルギーが最も高まる3日間と言われ、福を求めた参拝客が全国から約100万人も訪れる。目的は、漁業の発展や商売繁盛、家内安全と様々。祭りのハイライトは何と言っても、10日の本えびすに行われる「開門神事福男選び」。この神事は、えびすさまから一番早く福を授かろうと集まった参拝客が、早朝6時の開門と同時に表大門から本殿への約230mを全速力で走り参りする。先に本殿に辿りついた3名は「福男」と呼ばれ、周りの人々に福を分け、巡り巡って大きな福を授かるとされる。そのため走り参りは異様な熱気に包まれる。祭りに足を運ぶなら、ぜひ開門神事に参加して雰囲気を肌で感じてほしい。
10日の本えびすで行われる、「開門神事福男選び」。例年、前日の深夜12時より場所割りの抽選があり、5000人以上が列に並ぶ。抽選のくじを引けるのは先着1500人のみとなっており、門に近い一番前の集団から走れるのは抽選で選ばれた108人である。「福男」を目指すのであれば、この一番前の集団に入っていることが絶対条件といっていい。たとえ抽選に外れても、普通にお参りすることは可能なので是非参加してみよう。また「福男」という名称ではあるが女性の参加も大歓迎だ。
「開門神事福男選び」が注目されがちだが、「十日えびす」には商売・漁業の発展を祈願したお祭りとしての歴史が強く残っている。その特色の一つとして、えびすさまの御前に長さ3メートル・約300キロの大まぐろがお供えされ、参拝者が硬貨をペタペタと貼り付けて願をかける風習がある。これは「お金が身につくように」という商売繁盛の願いが込められている。祭り初日である9日の朝から、全国の漁業関係者や商売人など多くの参拝者でにぎわう。
「福笹」とは、笹にえびすさまのお札や鯛、小判(日本の古い硬貨)などの福々しい飾りをつけた縁起物。不思議かもしれないが、日本では鯛が「祝い」の象徴となっている。それには2つの理由がある。まずは「めでたい」という幸福を祝う日本語の語呂合わせ。そしてもう一つは鯛が他の魚と比べて長生きということ。長寿の象徴としてめでたいとされてきた。実はえびすさまの姿も、小脇に鯛を抱えた格好で描かれることが多い。そんな福が盛り沢山な「福笹」は、十日えびすの限定授与品として特別に受けることができるので、オススメだ。
レースではなく神事であることを理解して参加すること。
参拝時の礼儀や服装を心がけよう。
西宮市へのアクセス
[最寄り駅]
阪神電車本線:「阪神西宮」駅
[最寄りバス停]
路線多数あり:「阪神西宮駅前」バス停
会場
えびす宮総本社 西宮神社
「十日えびす」は境内全域
「開門神事」は西宮神社表大門から本殿迄の約230mの区間