御柱とは、神社の境内の四隅に立てられる大木のこと。御柱には、直径約1m、重さは10トン近くもある巨木が選ばれる。この御柱を山から切り出し、神社まで人の手で曳いてきて、境内に垂直に立てる一連の行事が御柱祭だ。
諏訪大社は日本でも最も古い神社の1つで、諏訪湖を囲むように4つの境内を持つ(上社本宮、上社前宮、下社春宮、下社秋宮)。諏訪御柱大祭では、この4つある境内すべてに御柱を建てる。
御柱祭自体は長野県を代表する祭りであり、各神社で盛んに行われている。その中でも、最も勇壮で大規模なものが諏訪大社の御柱祭。急坂を巨木と共に滑り落ち、冷たい雪解けの川を進むなど、危険を顧みず柱を曳く、迫力の行程が見もの。その危険な行程ゆえ、負傷者が出ることもあり、観覧の場合も十分な注意が必要。御柱曳きに参加したい場合は、諏訪御柱祭の翌年に開催される、小野御柱祭へ参加しよう。諏訪よりも観客が少なく、誰でも柱を曳くことができる。
切り出した御柱を山から里まで運ぶのが「山出し」。上社の山出しの最難所である「穴山の大曲」は、90°に曲がった細い道のこと。両脇の民家に当たらないよう、掛け声でタイミングを合わせながら注意深く進む。緊張の瞬間が過ぎ、御柱がカーブを曲がりきると、観客からは安堵のため息と拍手が沸き起こる。曳き手たちの、息の合ったコントロールを見守ろう。
祭りの中で最も危険な行程がこの「木落し」。傾斜30°の急坂に約10トンの御柱を滑り落とす。御柱には度胸試しの男達が乗っている。最後まで振り落とされなかった者は、祭りの英雄として名誉を手にするのだ。御柱に付いているV字の板は「めどてこ」といい、上社の木落しでは「めどてこ」がいかにきれいな角度で落ちるかということが重要視される。下社の木落しは、より勇猛な雰囲気だ。7年に一度の、迫力の瞬間を目撃しよう。
上社の山出しで最後の行程が「川越し」。幅40mの川は、雪解け水のため痺れるような冷たさだ。御柱は、V字の「めどてこ」に氏子を乗せたまま豪快に入水し、無数の綱に引かれて川越えする。勇敢に川を渡っていく御柱に、声援を送ろう。
祭りのクライマックスは「建御柱」。人の手で神社まで曳いてきた御柱を、境内の四隅に立てていく。立ち上がる御柱には氏子が乗り、声を張り上げ最後まで祭りを盛り上げる。15mの御柱が垂直に立ち上がると、会場は拍手と歓声に包まれる。7年に一度の大祭が無事終わった達成感を、地元の人たちと共有しよう。
・木落しや川越えなどの危険な場所がある。女性や子ども、ルールに詳しくない外国人は綱から離れる
・祭り当日は、かなりの混雑が予想される。人が多すぎて観覧できない場合もあるので、現地に知人がいる人は案内してもらうのがおすすめ。
・下社の木落しは有料観覧となっており、事前予約が必要。
・街道沿いには「お休み処」があり、無料で飲食できる。ご馳走になる場合、お礼の気持ちとして「ご祝儀」を渡そう。ご祝儀は自分たちが飲食する半額くらいの現金、または一升瓶のお酒が目安。
・酒が振る舞われ、里曳き参加者は皆飲むが、飲み過ぎには注意。
諏訪市へのアクセス
[最寄り駅]
上社本宮、前宮…JR中央本線茅野駅
下社春宮、秋宮…JR中央本線下諏訪駅
会場
諏訪大社
◇上社本宮
住所:諏訪市中洲宮山1
茅野駅より車で10分
◇上社前宮
住所:茅野市宮川2030
茅野駅より車で10分
本宮〜前宮は車で6分、徒歩25分
◇下社春宮
住所:諏訪郡下諏訪町193
下諏訪駅より車で6分、徒歩20分
◇下社秋宮
住所:諏訪郡下諏訪町5828
下諏訪駅より車で5分、徒歩13分
春宮〜秋宮は車で5分、徒歩15