奈良県の山の中に佇む「談山神社」で、春と秋にこの祭りが行われる。1926年に始まった「けまり祭」は、約1400年前に貴族が行っていた「けまり」という遊びを再現した奥ゆかしい祭りである。談山神社は、西暦600年代に日本の政治の基礎を築いた「藤原鎌足」という貴族を祀っている。藤原氏は、当時の皇子と共に改革を進め、二人が出会うきっかけになったのが、この「けまり」である。けまりは、中国から日本に伝わった遊びで、「まり」と呼ばれる皮製のボールが地面に落ちないようパスを続ける、フットボールのリフティングのようなものだ。演者のけまりを見学した後は、参加者もけまりを体験することができる。
けまりを行う演者がまとう色とりどりの衣装は、春の緑豊かな山にも、秋の紅葉が進んだ山にもよく映える。この衣装は、1400年前の「平安(へいあん)」時代に暮らしていた貴族たちの衣装で、その色によって身分の階級が決まっていた。また、けまりには決まった作法や所作があり、遊びながらも慎ましやかな動きが見られる。
演者のけまりが終了したら、けまり体験もできる。けまりのルールには勝ち負けがなく、いかに相手が受けやすいパスを出すかが重要というのも、独特の考え方だ。思いやりをもってまりを蹴ろう!
3日の午前11時半から、神社の中の「けまりの庭」という場所で、演者によるけまりが始まる。けまりを行う際は、庭の四隅に立てられた竹を目安に演者が立ち位置を決め、輪をつくる。庭の地中にはツボが埋められており、蹴ったまりの音の反響を増幅させている。美しい庭園と一緒に、けまりの音も楽しんでみよう。
祭りのスムーズな進行のため、行列の前に立ったり、呼び止めたりするのは控えよう。
桜井市へのアクセス
最寄り駅 JR・近鉄 桜井駅
路線名: JR 万葉まほろば線
近鉄 大阪線
最寄りバス停 談山神社
路線名:多武峯線
桜井駅南口から談山神社行きのバスで終点談山神社下車。
最寄りのバス停から徒歩5分。