日本のお正月には、「門松」と呼ばれる松の飾り物を、各家庭の玄関に置く風習がある。門松は神様への目印として、新年の幸福をもたらしてほしいという思いが込められているのだ。「お松引き」は、その門松をとりはらう神事。丹波山村に古くから伝わる、正月をしめくくるお祭りとして、1年間の無病息災や五穀豊穣を祈願して行われる。このお祭りでは、古代から運搬具として使われた木製のソリである「修羅」に、各家庭の正月飾りの松や竹を積み飾る。完成したものは「お松様」と呼ばれ、重さは2トンほどにもおよぶ。お松様には30m以上の2本の縄がつけられおり、これを地元の人や観光客みんなで、威勢よく引いていくのだ。修羅の内部には台座が設けられ、笛や太鼓で盛り上げる。50メートルほど進んではお酒が振る舞われ、街道沿いの民家の2階からはミカンや餅がばら撒かれる。それをくり返し、3時間ほどかけてやっと、約400メートル先の神様のもとに到着。300年つづく伝統の奇祭に参加してみよう。
古代から運搬具として使われた木製のソリである「修羅」。その上に、各家庭の正月飾りの松や竹を積み、正面にはその年の干支の飾り物を飾る。完成したものは「お松様」と呼ばれ、重さは2トンほどにもおよぶ。お松様には30m以上の2本の縄がつけられおり、これを神様のもとまで引いてお供えする。
お松引きは、村総出と観光客による体験型のイベントとしても人気がある。大量のお酒が振る舞われたり、道中で餅つきを体験できたりもする。中でも最も盛り上がるのが、民家の2階から振る舞われるミカン撒き。観光客も参加できるので、ぜひ楽しんでほしい。また、お松引きの間には歌や踊りの余興もたくさんある。「木遣り唄」と呼ばれる、お松様を運ぶ際に歌う唄は一体感を生み、お祭りを盛り上げてくれる。併せてチェックしておこう。
「修羅」に飾り付けられる門松飾り。各家庭に飾られる本物の門松は、大きいもので150cmにもなる。その門松をミニチュア製品にしたものが、お土産として人気が高い。日本のお正月文化が感じられるお土産として、「小さな門松飾り」はいかが?
・周辺が混雑する「みかん撒き」のピーク時は、小さい子供たちもいるので周りに注意。
・無料で振る舞われるお酒の飲みすぎに注意。
・国道沿いの片側通行止めにて開催。反対車線の通行車両には十分に注意。
丹波山村へのアクセス
[最寄り駅]
JR青梅線:「奥多摩」駅
[最寄りバス停]
西東京バス:丹波山村「中宿(なかじゅく)」駅
※奥多摩駅発から中宿駅まで56分
会場
山梨県北都留郡丹波山村宿
国道411号線
「中宿」駅から徒歩1分